(前略)
簡潔に言うならば、政党制を縮小・解体して、国民が積極的に政治に関与出来るシンローグ的な要素を国会に持ち込んでみてはどうか、ということだ。もちろん、衆愚政治に陥ってしまう可能性が高いことも僕は十分承知している。しかし、結局は全てが「数の論理」に帰結してしまう今の国会は役割を果たせていない。
「シンローグ」とは無理やり日本語に訳すと「協話的」という意味だ。具体的には、WikipediaやLinuxのように、多数の人間が関わってある一つのものを構築していくイメージすればよい。議会とは、元々一人ひとりの議員がモノローグとして持っている政策を、ダイアログにして法案という形に昇華させる場だと僕は思っている。
しかし、それが実現されていない。だから、(形式上は)モノローグとダイアログの中間にある今の議会を、ダイアログとシンローグの中間に置くことで刺激しよう、ということだ。
具体的には、重要議案について国民の意見を募って議論し、また世論の代表として一般国民から数名を選んで国会に招致し、議論に参加してもらうという方策を考えている。これは、国会議員が国民の代表である、という間接民主制の原則から大きく外れているが、実際は必ずしもそうなっていないことは誰もが知っている。それは問題の本質ではないのだ。
僕の中の想定としては、複数名でのチャットがある。数に拘束されず、また、想定外の出入りの起こる空間だ。――これに関してはまたいずれ詳しく述べる機会があるかもしれないが、とりあえずは問題提起のみに留めておこう。
ここまで読めば、三年後の私達はあるものを思い浮かべることだろう。そう、ツイッターだ。三年前には抽象論で単なる妄想だったものが、十分実現可能なところまで来ている。
少し話は替わるが、ちょっと前の朝日新聞で高橋源一郎氏が参議院についてこんなことを言っていた。
・今の代議制民主主義は国民に「公」を放棄させる言い訳になっている
・ネットを利用して直接民主制を導入、参院にそれを管理させる
・参院が必要と判断したテーマについて、即座に国民投票(国民全員にコンピュータ端末配布)
・投票結果自体に法的拘束力は持たせず、参考意見にとどめる
・参院の定員は50人くらい、全て全国区。全員で「朝生」ばりにテレビ討論
・国民を「公」に引きずり込むことが目的
これこそ、僕が言いたかったことをほとんど実現する制度だと考える。僕には想像力も知恵も経験もなく、このようなことは思いつかなかったが、言われてみると「なるほど……」と唸ってしまった。なにより、現実的であることが素晴らしい。
池澤夏樹さんの言によると「(日本という国は)どうも国民のレベルは国民のそれを下回ってきたよう」だが、憲法12条にもあるように国民の側が意識を高く持って「不断の努力」をしていくことが重要だ。国民が「公」に責任を持つこと(一人ひとりが、生活につながる政治に責任を感じること)は、政治不信の解消という観点でも意味あること。実際にこの意見が容れられることはまずないだろうが、小さくとも一有権者の声をネットに届けたい。
シンローグとツイッターと池澤夏樹の政治評論(と森永卓郎の消費税論)については後日詳述するかも?